2026年 第32回北海道野生生物写真コンテスト入賞・入選作品

 公益財団法人北海道新聞野生生物基金、北海道新聞社主催の第32回北海道野生生物写真コンテストの入賞・入選作29点が決まりました。

 応募者の総数は212人(前年比11人減)で、応募総数は動物、植物両部門合わせて前年より13点多い590点となりました。動物部門は453点の中から1席に札幌市の早川徳幸さんの「水鏡の歪曲」が、植物部門は137点の中から1席に江別市の阿部孝志さんの「深紅の海原」が選ばれました。また、30歳以下の応募者を対象としたU30特別賞には、札幌市の西井俊貴さんの「プライドを懸けて」が選ばれました。

 入賞・入選の作品展は2026年10月30日(金)~11月4日(水)、富士フイルムフォトサロン札幌(札幌市中央区大通西6丁目)で開かれます。

応募作品総数 動物部門453点+植物部門137点=合計590点(応募者212人)
入賞・入選作品 29点(入賞12点、優秀作17点)
主催 公益財団法人北海道新聞野生生物基金、北海道新聞社
審査委員
(敬称略)
寺沢孝毅(動物部門審査委員長)、奥田實(植物部門審査委員長)、小川巌、中井和子、守屋裕之、西村昌晃

動物部門 入賞・入選作

植物部門 入賞・入選作

U30特別賞

動物部門

入賞作品(7点)
  入賞作品 氏名 住所 タイトル
(動物名)
1席 早川 徳幸 札幌市 水鏡の歪曲
(シャチ)
2席 髙橋 大樹 札幌市 ただ生きる為に
(エゾモモンガ)
2席 富永 夢乃 札幌市 黄昏に生きる
(キタキツネ)
3席 古櫛 由美 北斗市 気嵐に舞う
(カモメ)
3席 藤田 登貴子 旭川市 水面の気配
(オショロコマ)
3席 丸山 祐一 石狩市 琥珀色の輪舞曲
(ミヤマカワトンボ)
鮫島和子賞
藤田 典子 札幌市 狙いを定めて
(オシドリ)
動物部門講評 審査委員長 寺沢孝毅

 1席の「水鏡の歪曲」は、小さなうねりのなかを泳ぐシャチを、真後ろから捉えた作品だ。作者が目線を低くしたことで、うねりがつくる滑らかな曲線美が浮かび上がった。そこに噴気行動が重なったことで、静と動がマッチした独特の世界観が完成した。

 2席の「ただ生きる為に」は、この動物の滑空を完璧に捉えた作品だ。背後の樹木の枝ぶりが程よいボケ味で写り込み、周囲の環境を伝えている。木屑のようなものを口いっぱいにくわえているのも微笑ましい。「黄昏に生きる」は、1本の道を歩んでいたキタキツネが、ふと立ち止まったところだろうか。日没直前の斜光が射し込み、手前では路上の砂利、奥では秋色の植物の輝きが美しく、作品の完成度を上げている。よく考えられた構図で撮られた作品である。

 3席の「気嵐に舞う」は、爆発的なカモメたちの鳴き声が聞こえてくるようだ。一気に冷え込んだ冬の朝の絶景のなか、寒さを忘れるほどの作者の感動が伝わってくる。「水面の気配」は、浮上するオショロコマの一瞬の姿を逃すことなく切り取った作品だ。水面でもがく昆虫の気配を、作者がオショロコマより先に感じ取れたことがこの作品につながった。「琥珀色の輪舞曲」は、被写体であるミヤマカワトンボが画角からはみ出し、その影の方が大きく写り込んでいる。こうした大胆な構図が、かえって印象的な作品にした。

 鮫島和子賞の「狙いを定めて」は、オシドリの巣立ち雛の視線の先に昆虫が飛んでいて、そこには水滴がキラリと輝く。この場面は、雛が昆虫を捕食する前段だったのだろうか。そんな不思議な出会いを、美しく捉えることができた。

 応募作品全体を見て感じたのは、彩度やシャープネスを上げ過ぎてプリントの完成度を損なってしまった作品が多いことだ。そうなるとせっかくの作品も評価を落としてしまうので注意したい。

優秀作 (10点)
  入選作品 氏名 住所 タイトル
(動物名)
優秀作

吉村 登美子

千歳市

気分は最高!
(マガモ)

斉藤 宏和

上川管内東神楽町

森の隣人たち
(エゾフクロウとエゾリス)

坂本 千恵子

江別市

手を洗いましょ
(エゾリス)

竹田 徹夫

渡島管内知内町

あなた だ~れ?
(セイタカシギ)

渡部 啓二

渡島管内七飯町

北帰行
(オオハクチョウ)

田守 奈緒子

札幌市

厳寒の朝の贈り物
(エゾモモンガ)

飯高 光紀

札幌市

遅れた訪問者
(マダラナガカメムシ)

石橋 文則

伊達市

氷点下の朝
(エゾシカ)

圡田 多江子

渡島管内七飯町

三夏
(イトトンボ)

野村 真輝

旭川市

蒼一点
(ハクガンとアオハクガン)

 

植物部門

入賞作品(4点)
  入賞作品 氏名 住所 タイトル
(植物名)
1席
阿部 孝志 江別市 深紅の海原
(ウラシマツツジ)
2席
稲垣 昌子 函館市 旅立ちの時
(ガガイモ)
3席
田澤 米子 帯広市 冬の生命
(ゴレツミズゴケ)
鮫島和子賞
輪島 礼子 札幌市 秋麗
(キノコ)
植物部門講評 審査委員長 奥田實

 植物を主題にした写真か、植物の写った風景写真かは、野生生物基金コンテストに応募する上での重要な課題だ。植物の撮影は構図中の主役や脇役などの細かな配置や背景の決め方によって、植物写真にも風景写真にもなり、主題が変わる。特に、高山植物などの撮影では、背景の山稜ピーク、ラインの強弱はテーマによって変える必要がある。

 1席の「深紅の海原」は、大雪山系の高山帯に群生するウラシマツツジの秋色をとらえている。群落の撮影はその塊ではなく端を撮影することで、画面に変化がうまれ情報量も増える。作品の主題を強くするためには、背景の山稜ピークを少しカットすることで、「ウラシマツツジ」が生きてくる。

 2席の「旅立ちの時」は、旅立つ前のガガイモの種子をとらえた作品だ。熟した果実が割れ、折りたたまれた種髪が膨張し、今まさに種子が旅立ちする直前の姿である。逆光線を利用し、暗い背景を選ぶことで種髪の質感が際立った。つる性のガガイモの実の姿、様子をもう少し丁寧に見せて欲しい。

 3席の「冬の生命」は、湖沼に横たわる倒木に群生するゴレツミズゴケをとらえた作品だ。冬間近な晩秋期の凍り始めた水面と左背景の倒木がコケの生きる環境を映し出している。撮影位置を少し下げてコケを画面中央へ押し上げ、背景の森も少し切り詰めることで作品の力強さを一層際立たせられる。 

 鮫島和子賞の「秋麗」は、次々に頭をもたげたヒトヨタケ科のキノコが傘を開く前の姿をとらえた作品だ。場所は秋深まる公園、真後ろの切り株がキノコの生きる環境を物語る。散り落ちた紅葉も画面に変化をつけている。背景の林の半分ほどを切り詰めることで、作品の完成度が高まる。

優秀作 (7点)
  入選作品 氏名 住所 タイトル
(植物名)
優秀作 竹田 啓子 釧路市 海藻模様
浅野 晴也 釧路管内弟子屈町 荒れ地に咲く
(イソツツジ)
横江 憲一 札幌市 一面の花畑
(チングルマ)
塩浜 郁夫 北見市 マイ・ホーム
(キノコ)
東等 和子 釧路市 苔岩にも春が
(オオサクラソウ)
小池 正一 釧路管内弟子屈町 クルマユリと摩周
(クルマユリ)
長坂 雅美 北見市 清らかな目覚め
(ミズバショウ)

U30特別賞

  入選作品
(1点)
氏名 住所 タイトル
(動植物名)
  西井 俊貴 札幌市 プライドを懸けて
(エゾシカ)
U30特別賞講評 動物部門審査委員長 寺沢孝毅

 U30特別賞の「プライドを懸けて」は、激しく角をぶつけ合うオスジカを、角を中心に両者の顔を切り取った作品だ。2頭の見開いた目からは、生きることに妥協を許さない強い意志が伝わってくる。全体がセピア調の色調も、作品の雰囲気を醸し出している。

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