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北海道新聞野生生物基金は、北海道の自然と野生生物を守る大切さを訴え、広く周知するため、全道各地の小中学校・高校・大学や市町村の講座などに評議員の講師陣らを派遣する「自然・環境出前講座」を実施しています。以下に出前講座の2017年の実践例を紹介します。派遣の希望がありましたら、ご相談ください。
◎苫小牧・環境出前講座
おなじみの作業服姿でエゾシカとの共存策を講演する坂東園長 |
旭川市旭山動物園で動物たちの「行動展示」を実践したことで知られる評議員の坂東元園長が11月30日、北海道消費者協会のエゾシカ連続講座の一つとして招かれ、苫小牧市民活動センターで「北海道の野生生物と共存する社会の姿とは」と題して講演した。
市民ら約50人が詰めかけた。坂東園長は自ら狩猟免許を取得したことで全国から「動物園で働く者が命を奪うのか」などと批判を浴びた経験も紹介。「エゾシカは年間約14万頭が駆除されている。オオカミを絶滅させるなど、私たちの営みが結果としてエゾシカを増やし、害獣にしてしまったことこそが人間の罪深さ。しかも奪った命の9割はごみとして捨てられている。命を奪っていることを心に刻み、死を見つめるきっかけにしたい。食文化を育ててこそエゾシカを大切に思うことにつながり、共存の未来が見えてくる」などと話し、市民らの共感を呼んでいた。
◎北野小・環境出前講座
オランウータンのぬいぐるみを手に語る金子教授 |
マレーシアの昆虫を集めた標本に集まる子どもたち |
評議員である酪農学園大学の金子正美教授は12月13日、札幌市清田区の市立北野小学校で環境出前講座として「マレーシアの文化、自然、生活について」をテーマに、同国のサバ大学からの留学生キュー・イーホンさんとともに講演した。
3年生65人が参加し、まずキューさんがクイズ形式でマレーシアの食事や生活が日本と大きく異なることを説明。とりわけトイレットペーパーを使わないトイレに、子どもたちは興味津々の様子。青年海外協力隊員としてサバ州に派遣されたことのある金子教授は「オランウータンやボルネオゾウなどの動物たちは熱帯雨林にしか住むことができないのに、ポテトチップスなど食品に使われる植物油を採るためのアブラヤシのプランテーションが広がり、森がどんどん小さくなっているんだよ」と現状を紹介した。また、同国で採取された珍しい昆虫の標本を持参すると、子どもたちが殺到し、大人気だった。